実数は自然数よりも「濃ゆい」 その1

「濃度」という発想

 偶数全部の集合と自然数全部の集合とでは、どちらが大きいと思いますか?実数と自然数なら、どうですか?
 集合には、それに属する要素の数で分類すると、有限集合*1と無限集合*2とがあります。有限集合の要素の個数っていうのは、普通に数えられますが、無限集合の要素は、なにしろ無限なので、数えてもきりがないわけです。
 そこで、有限集合の「個数」に対して、無限集合では「濃度」という概念が用いられます*3*4

自然数と偶数の濃度

 では冒頭の問いの1つ目「偶数全部の集合と自然数全部の集合では、どちらが大きいか」を考えてみましょう。感覚的には、偶数は自然数の部分集合なので、自然数のほうが大きい気がします。しかし、それは間違いです。
無限と無限をどうやって比べるんでしょう?答えは簡単。数えます(どーん)。
 数えるといっても、「A君はリンゴを…いち、にい、さん…3個持ってました。B君は5個。だからB君のほうが多く林檎を持っています」というわけにはいきません。どうするかというと、ペアにするんです。
 運動会の玉入れの結果発表を想像してください*5。赤組と白組の集計係が並んで、カゴの中の玉を放りながら、同時に、「いーち、にーい、さーん…」と集計していきます。そして、相手よりも多いか、少ないかを確かめるわけです。
 同様に、自然数という集合の要素と、偶数という集合の要素を、1対1に対応させていきます。例えば、(自然数,偶数)=(1,2),(2,4),(3,6)…といった具合にです。こうしてペアをどんどん作っていって、全ての要素が、もれなく、1対1に対応すれば、2つの集合は「同じ濃度である」といえます。
 そういうわけで、自然数と偶数とでこの作業をやっていくと、確かにもれなく1対1に対応します。なので、冒頭の問いに対する答えは「同じ大きさ(濃度)である」ということです。
 このように、自然数全体の集合と同じ濃度である集合を、ペアにして数え上げることができる、という意味で可算無限集合といいます。

自然数と実数の濃度

 次に、冒頭の問いの2つ目、「実数全体の集合と、自然数全体の集合では、どちらが大きいか」を検討してみましょう。
 …と思いましたが、「このことについて、私は真に驚くべき証明を"勉強した"が、この"記事"はそれを書くには"長くなりすぎた"」ので、また今度です*6

*1:桜高校3年B組、とか

*2:自然数とか

*3:厳密には、個数も濃度の一つです

*4:ただし、和や積などの演算は個数と同様にはできません。

*5:習った際の先生の例を拝借

*6:最後ちょっとカッコつけた。