誠実さよりも徹底した汚さを ― 親愛なる友人SとMへのメッセージ


 「隠し事は嫌だから、全部言ってね」なんて、ダメですよ。
 それで相手の方もね、「合コン行くけど何もないから」とか、「女友達の家に泊まる」とか、言わないでいいんですよ。それでどうなりますか。言われた方は、自分の不信感を我慢するか、相手を徹底的に問いただすかしかありません。言った方も、わざわざ追及の糸口を相手に与えることになります。それが面倒臭くなって嫌になっちゃうんでしょう。もう、関係を続けたくて誠実であろうとしてるのか、関係を壊したくてそうしてるのか、って感じです。
 内面は欲望でドロドロのくせに、中途半端に誠実であろうとするから話がややこしくなるんですよ。徹頭徹尾、偽っていればいいんです。徹底的に100%の幻想世界を2人で頑張って作ればいいんです。その方が幸せなんです。
 そういうことを「正直に」言うっていうのは、やましいことをした罪悪感を、相手の苦痛へと転換するってことなんです。内なる自分からの呵責に耐えられないからって、そうした負のエネルギィを、外に出しちゃうから、世の中に負のエネルギィが沈殿していくんです。
 もう僕らもハタチ過ぎた汚い大人なんですから、その辺はわきまえましょう。