悩み相談を受けて思ったこと――解決策の提示は悪い方法か


 よく「悩み相談に対して解決策を提示するのはダメ」といった人付き合いのテクニックを目にします。でもそれは解決策の提示法が間違っているだけだと僕は思います。「相手の言葉で」、「相手の認識を変える」ようなことが上手いことできれば、解決策を提示しても拒否されないのではないでしょうか。

相手の言葉で――会話しながら追体験する

 「相手の言葉で」というのは、つまり「相手の立場に立って」ということなんですが、コレは結構難しいです。ひとつの方法としては、まず、相手の相談内容の発端となった経験を一から話してもらって、相手の経験をリアクションを述べながら聞くことで、一緒にその記憶を追体験していくことです。例えば、
「ここで親友に○○って言われてさ」
「うわー、俺が例えばA(自分の親友)とかにそんなこと言われたら死ねる…(笑)」
みたいな感じです。

相手の認識を変える――状況に名前を付ける

 こうして追体験していったことで、相手と同じような気持ちになるか、あるいは同じような気持ちになったと相手に思わせることができたら、次は相手の認識を変えることです。
 ここで僕がやるのは、相手の陥っている状況や精神状態に名前をつけることです。名前という「型」を作って説明してあげることで、不安定だった状況をその「型」にはめます。名前を付けると、それを自覚的に操作することがやりやすくなります。
 大切なのは、その場で認知を変えようとしないことです。小さい頃に言われた暴言がずっとコンプレックスになるみたいに、他人の言葉が後々強く効いてくることってあると思うんですが、そういう効果を期待して、解決案という種をそっと蒔いておくイメージです。ある一言で「価値観がガラリと変わる」なんてことはありえないので。

結局は相手次第

 まああーだこーだ書きましたが、結局他人ができることは少ないです。少し経って久々に話してみたら、同じ問題にはまって、堂々巡りをしている、なんてことはよくあります。上に書いたことだって、「認識を変える」というよりは「認識が変わるような方法・価値観をチラつかせる」くらいのものですよね。なので、自分の影響力を過信したり、他人に期待しすぎたり、しないよう注意しなくてはいけません。