時計じかけのオレンジ/アントニイ・バージェス/評価:3.5

評価

  • 面白さ 3.5
  • 結末 3.5
  • ビズムニー(あたまにきた) 5

感想

 暴力、強盗、レイプ、殺人など悪行の限りを尽くす、15歳の不良少年アレックスの青春クレイジィストーリィ!という感じでしょうか。風刺小説らしいのですが、確かにパンチが効いています。結末(削除されていた第21章)は、なかなか味わいがありました。
 不良少年がクラシック好きなんですが、これが良い味を出しています。キューブリック監督の有名な映画版では、ベートーヴェンの第九が効果的な演出をしているようです。いやー、絶対合うだろうなぁ。
 ただ、訳がアレです。若者言葉として、ナッドサット(ティーンエイジャ)言葉という造語が頻繁に登場するのですが、コレがあんまり上手く訳せていないのです。例えば「デボーチカ」は「おんなのこ」、「マルチック」は「おとこのこ」、「カッター」は「おかね」というルビですが、不良少年がそんなお上品には言わないと思います。その辺で15歳少年の幼児性が演出できるのかもしれませんが、僕は読んでてとても違和感がありました。ビズムニーって「あたまにきた」ってより、クレイジィって意味じゃないのかなぁ。
 気に入った部分を引用します。

兄弟、彼らが何がいったい不良の"原因"かなんて考えこんでるのは、おれにいわせりゃ、まったくのお笑いだ。"善良"の原因さえよくわかっていないくせに、その反対のことがわかるわけがないだろう?